ready 2

レディ 2

制作：2020年

作家コメント
私の教え子と一緒に二人展を開催した際に、制作した作品の一つです。その展示では、当時、作品のスタイルの違い、学生と教師というポジションの違いを超えた展示をすることで、今日の美術の表現と多様性を結びつけ、より広く社会を開放したいという思いを込めました。

海外のアートシーンでは、「アイコニック」という言葉があって、表現や作品が、その作家そのもののイメージとして成立していることが、評価や判断の基準の一つになっているという話を聞いたことがあります。草間（彌生）さんだったら水玉、村上（隆）さんだったらサブカル、というように、一見、特定の象徴性を確立することが、成功の近道であるように思えます。しかし、作品は、その人の中身として自然と滲み出てくるもので、自身の置かれた状況やマイノリティを乗り越えた先に、新しい価値を生み出すことが、本当の美術の役割だと信じてその展示を開催しました。

「ready2」は、そんな教え子や、自分自身に対しても表現と向き合い始めるときの入り方や位置のつき方の重要性、そして社会に向けての常識や心構えというような、見えない部分にこそ本当に大切なことや価値があるという、思いを込めた作品です。

門田 光雅（かどた みつまさ）プロフィール
1980年静岡県生まれ。 絵画の地と図への関心や、伝統的なメディウムの限界への挑戦、 色彩と筆致の相対的な関係性への模索の中で、美術の文脈の先にある絵画表現の新たな地平を探求している。そのスタイルが評価され、2019年にはMoMAのヤングパトロン協議会（旧ジュニアアソシエイツ）との共催でNYのリンカーンセンターにて個展を開催。近年では、「カラーズ ― 色の秘密にせまる 印象派から現代アートへ」（ポーラ美術館 2024）、「絵画のミカタ 5人のアーティストとみる群馬県立近代美術館のコレクション」（群馬県立近代美術館 2020）、「The ENGINE 遊動される脳ミソ 小野耕石×門田光雅」（セゾン現代美術館 2019）などに出品。セゾン現代美術館に作品が収蔵されている。