AA STOOL

石巻工房は、2011年の東日本大震災の直後、宮城県石巻市沿岸部の商店街で誕生した市民向け工房を原点とする家具メーカーです。発案したのは建築家の芦沢啓治。東京のデザイナーを中心とした有志が復興のために補修道具や木材を提供し、復旧・復興のために自由に使える「地域のものづくりの場」としてスタートしました。被災直後の現場でも対応できるよう、最近まで製品の材料には耐久性と強度があり、加工性に優れた2×4規格のレッドシダーを主に使用していました。また、2022年8月からは、昨今の風潮に合致するサスティナブルな素材として、国産材（宮城県産、屋久島地杉）や集成材に切り替えて生産しています。製品の多くは地元の人たちとのワークショップを通して生まれ、被災を背景に生じた材料と技術の制約が、シンプルで機能的かつ愛着の沸くデザインを生みだしています。一連の取り組みが国内外のメディアより注目され、2012年には「グッドデザイン賞」、2021年には「グットデザイン ロングライフデザイン賞」を受賞。現在では、復興のためだけでなく、デザインの力でDIYの可能性を広げる「DIYメーカー」として、また地元の人々が自立運営する小さな産業として成長しています。

トラフ建築設計事務所 / TORAFU ARCHITECTSは、鈴野浩一と禿真哉によって2004年に設立された建築設計事務所です。建築設計をはじめ、ショップのインテリアデザイン、展覧会の会場構成、プロダクトデザイン、空間インスタレーション、ムービー制作など多岐に渡り、建築的な思考をベースにデザイン活動に取り組んでいます。主な作品に、「テンプレート イン クラスカ」「NIKE 1LOVE」「ブーリアン」「港北の住宅」「ガリバーテーブル」「Big T」があります。2015年に「空気の器」が、モントリオール美術館の永久収蔵品に認定されました。レッド・ドット・デザイン賞やIFデザイン賞、グッドデザイン賞など、国内外の多数のデザイン賞を受賞しています。2011年にミラノサローネのキャノンの展示会場構成で手掛けた「光の織機」は、会期中の最も優れた展示として、エリータデザインアワード最優秀賞に選ばれました。彼らがデザインしたプロダクトは、石巻工房 by Karimokuや飛騨産業、山形緞通など、家具・インテリアブランドから製品化されています。